気体分子活性化のための光電解反応装置

 資源的に豊富かつ環境負荷が小さい炭素資源であるメタンを化成品に変換する天然ガス化学プロセスの開発が望まれています.低温においてメタンのC–H結合を活性化することができれば,逐次反応を抑制し,C2炭化水素の選択性を向上できる可能性があります.

 

 そこで,室温でメタンを活性化する新しい反応系として,n型半導体電極(光アノード)を利用した光電気化学プロセスの開発を目指しました.

図1 気相メタンを活性化するための
光電気化学反応装置

 バンドギャップ2.7 eVの酸化タングステン(WO3)を光アノード,白金触媒電極をカソード,プロトン伝導性の高分子膜を電解質として膜電極接合体を作成しました.両極間に1.2 Vの電圧を印加し,青色光をWO3電極に照射したところ,気相メタンのカップリング反応によってエタンが生成することが確認されました.

 

 従来の光触媒反応系では,CH4の脱水素カップリングを進行させるために高エネルギーの紫外光が必要であり,照射光子の利用効率(量子効率)も低いという問題がありました.これに対して,本研究で開発した光電解プロセスを用いれば,エネルギーの低い可視光使って,高い量子効率でメタンを変換できます.また,膜型反応器であるためエタンと水素の分離回収が可能という特徴も有しています.