半導体光触媒

 物質が光を吸収すると、電子のエネルギーが高くなります。これを光励起と呼びます。光励起によって化学反応を引き起こす物質群を「光触媒(photocatalyst)」と呼びます。 酸化チタン(TiO2)などの無機化合物が有名であり、半導体の光電効果に由来した現象です。

図 半導体光触媒による水の完全分解による水素製造スキーム

 半導体が光を吸収すると、価電子帯(valence band)の電子が伝導帯(conduction band)に励起されます。 価電子帯には電子の抜け穴である正孔(positive hole)が生成します。励起電子と正孔の寿命が長い場合には、励起電子が還元反応を、正孔が酸化反応を引き起こすことが可能です。

 

 水の全分解反応(H2O → H2 + 1/2O2)では、励起電子がプロトンを還元して水素を生成し、正孔が水を酸化して酸素を生成します。 水分解はギブスエネルギーが増加する反応(Δ> 0)であるため、自発的には進行しえませんが、半導体の光励起状態をもちいることによって可能となります。 


 光合成に類似した反応を進行できることから、太陽光エネルギー変換材料として光触媒は注目されています。 実用化のためには、吸収光子の利用効率の向上と光吸収波長の拡大が重大な課題です。